
シャーロット・ブロンテ原作の不朽の名作の映画化。
愛を知ったジェーン・エアを待ち受ける運命とは?
基本情報
| 原題名 | Jane Eyre |
| 制作国 | イギリス/アメリカ |
| 制作年度 | 2011年 |
| 上映時間 | 2時間 |
| 監督 | キャリー・ジョージ・フクナガ |
あらすじ
両親を失ったジェーンは伯母に引き取られるが、いじめに遭い、厳格な寄宿学校へ送られる。
成長したジェーンは、ソーンフィールド邸で家庭教師として働くことに。
主人ロチェスターと心を通わせるが、彼は誰にも言えない秘密を抱えていた。
登場人物とキャスト
| ジェーン・エア [孤児/家庭教師] 演:ミア・ワシコウスカ 生年月日 1989年10月25日 |
| エドワード・フェアファックス・ロチェスター [貴族] 演:マイケル・ファスベンダー 生年月日 1977年4月2日 |
| セント・ジョン・リバース [牧師] 演:ジェイミー・ベル 生年月日 1986年3月14日 |
| フェアファックス夫人 [家政婦頭] 演:ジュディ・デンチ 生年月日 1934年12月9日 |
感想(ネタバレなし)
「ジェーン・エア」は、シャーロット・ブロンテ(1816~1855年)の小説を原作としたゴシック・ロマンスです。
両親を亡くし孤児となったジェーン・エアは伯母に引き取られますが、冷遇され寄宿学校に送られます。
卒業後、ソーンフィールド邸で家庭教師となり、当主ロチェスターと恋に落ちますが、予期せぬ出来事が。
1847年の出版当時、そのセンセーショナルな内容が大きな話題と論争を巻き起こしました。
現代でも十分に衝撃的な内容なので、当時の人々がどんな反応をしたのか容易に想像がつきます。
1840年代のイギリスは階級社会で、女性の地位が低い時代でした。
その中で、自立した物おじしないヒロインであるジェーン・エアの生き様は、まさにフェミニズムの先駆けといえるでしょう。
ロテェスターが隠していた衝撃の秘密とは?
ジェーンが下した決断とは?
美しいラブストーリーに酔いしれたい人必見の作品です。
感想(ネタバレあり)
こじらせ男子ロチェスター
気難しくて、皮肉屋で、横柄な態度を取るロチェスター。
かと思ったら、ジェーンに甘い言葉をささやく・・・。
ツンデレ男?いや、これはもう完全にこじらせています。
ジェーンは感情をあまり表に出さないので、彼女が自分のことをどう思っているのか確信が持てない。
だから、ジェーンの気持ちを探るために、あえてイングラム嬢と親しそうに振る舞うのです。
あのさ・・・同年代ならまだ理解できます。
けれど、ロチェスターとジェーンは親子ほど年が離れている。
要するにいい年をしたおじさん。
そのおじさんが恋の駆け引きをするのですから、たまったものじゃありません。
一番腹が立ったのが、客人が集まるサロンでのシーン。
客人とは離れた位置に座るジェーン。
みすぼらしいドレスを着たジェーンには、誰も話かけようとしない。
ロチェスターはといえば、ジェーンにちらりとも目を向けず。
居心地の悪さに耐え切れなくなったジェーンは席を離れ、部屋を後にします。
するとロチェスターが追いかけてきて「悲しそうだ。どうした。目に涙が?」なーんてことを。
おいこら、おじさん。いい加減にしろよ。
ジェーンは恋愛の駆け引きに疎い女性なので、ロチェスターの態度に戸惑いを隠せない。
完全にこじらせおじさんになってしまっています。
しかも「私の肋骨についているヒモが君の肋骨と結ばれている気が。君が離れたらヒモが切れてしまう」なーんて殺し文句まで飛び出します。
ハンサムなマイケル・ファスベンダーだから許されるわけで、普通はこんなことを言われたら気色が悪い。
だって「肋骨」って・・・。
しかし、ようやく2人が互いに愛し合っていることが分かって結婚・・・と思ったら・・・なぬ?ロチェスターに妻がいた?
重婚やないか。
犯罪ですよ、これ。
ジェーンを共犯者にするつもりだったの?
しかも、妻バーサは精神に異常をきたしていたため、屋根裏に監禁していたことが判明します。
重婚に、精神異常者の妻!
当時のイギリスでは、妻が精神異常者であっても、離婚は認められませんでした。
だからといって、ジェーンとの重婚が許されるわけがありません。
こじらせ男子どころの騒ぎじゃなかったのです。
当時(1874年)小説を読んだ人は、あまりのセンセーショナルな内容に腰を抜かしたのではないでしょうか。
こじらせ女子ジェーン
ロチェスターもこじらせているけれど、ジェーンもこじらせています。
ジェーンはソーンフィールド邸を飛び出した後、飢えと疲労で倒れてしまい、牧師のリバースに助けられて身を寄せることに。
その後、宣教師としてインドに行くから結婚してほしいと、リバースに頼まれます。
「兄として愛している。夫としては考えられない」と返答するジェーン。
年齢の近い他人の男性を「兄」と呼ぶのは無理があります。
世間知らずにも程がある。
しかし、原作ではジェーンとリバースは従兄妹同士であることが分かります。
それならば、ジェーンが兄としてリバースを愛したいと思うのも理解できます。
なぜ映画では省略したのか?
省略しなければ、こじらせ女子にならずに済んだのに。
2人の愛の行方は?
まだロチェスターのことを愛していたことに気づき、彼のもとに帰ることを決意したジェーン。
しかし、屋敷は焼け落ちていました。
バーサが火を放ち、屋根から飛び降りて死亡。
ロチェスターは火事が原因で失明していました。
バーサが亡くなったことで、ロチェスターは自由の身に。
もしバーサが生きていたら、ジェーンとロチェスターの関係はどうなっていたのか?
● ロチェスターの愛人になる。
● 愛人関係になることを望まず、友人としてロチェスターを支える。
道徳心の強いジェーンの性格を考えると、どうも後者のような気がする。
バーサが都合よく!(それを言っちゃだめ)亡くなってくれたおかげで、ハッピーエンドを迎えたのですからいいじゃありませんか。
映画版と小説版の違い
映画版→アデールの母親は、ロチェスターの愛人だったらしい。
アデールの父親が誰なのかは言及されず。
小説版→アデールの母セリーヌは踊り子で、ロチェスターの愛人だった。
セリーヌが若い道楽者の子爵と浮気をしたため、別れることになる。
セリーヌは身ごもり、ロチェスターの子だと主張。
しかし、ロチェスターはアデールが本当に自分の娘かどうか疑わしいと考えている。
セリーヌが娘を捨てたため、ロチェスターがアデールを引き取って育てる。
映画版→ジェーンとリバースは他人同士。
小説版→ジェーンとリバースは従兄妹。(リバースの母はジェーンの父の姉)
映画版→「奥さんがいるなんて知らなかった」とジェーンに語る。
小説版→何かあると疑っていたが、事実については何も正確な知識を持っていなかった。
映画版→2人は結婚して、幸せな生活を送るのだろうと予感させるラストで終わる。
小説版→ロチェスターの片方の目の視力が回復する。
2人の間には男の子が生まれる。
<参考文献「ジェーン・エア」C・ブロンテ(著)、大久保康雄(翻訳)/新潮社>
総評
ロチェスターを演じていたのがマイケル・ファスベンダーだったからこそ、全て許せた気がします。
下手をすればただの嫌な男になってしまうロチェスターを、繊細かつ情熱的に演じていたのがよかった!
もちろん、ジェーンを演じたミア・ワシコウスカの、静かな強さを感じさせる演技も素晴らしかったです。

