小説「死との約束」ネタバレなしの感想

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「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
名探偵ポアロが耳にした男女のささやきが現実になる殺人事件の真相は?

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著者アガサ・クリスティ
原題Appointment with Death
訳者高橋豊
発行所早川書房
発行年2004年
Audibleあり

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中東を旅行中のボイントン一家の母親は支配的な性格で、家族全員が彼女に精神的に抑圧されていた。

観光地ペトラを訪れた際、ボイントン夫人が遺体となって発見される。

死因は毒物の注射によるものだった。

警察の依頼で、名探偵ポアロが捜査に乗り出し、家族や同伴者たちの証言から事件の真相に迫る。

アガサ・クリスティは1890年にイギリスのデヴォン州で生まれた世界的に有名な推理作家です。

「ミステリーの女王」として知られ、1920年に「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビューを果たしました。

クリスティは生涯で100冊以上の長編、短編、戯曲を執筆し、エルキュール・ポアロやミス・マープルといった名探偵を生み出しました。

クリスティの作品は多くの言語に翻訳され、世界中で愛されています。

「死との約束」は1938年に発売された<名探偵ポアロ>シリーズの16番目の長編推理小説です。

「死との約束」について

ポアロはエルサレムを旅行中、偶然「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という男女のささやきを耳にします。

しかも、その”彼女”がボイントン夫人であることがすぐに作中で判明します。

ボイントン夫人とその家族は、中東旅行中でした。

ボイントン夫人は子供たちを精神的に支配します。

子供達といっても、長男のレックスは30歳で、ネイディーンという妻がいる身。

次男レイモンドと長女キャロルは20代。

しかも、ボイントン夫人は後妻のため、3人の子供たちと血のつながりはなし。

ティーンエイジャーの次女ジネヴラのみが、ボイントン夫人の実子でした。

ジネヴラ以外の子供たちは大人であるにも関わらず、全員が夫人の支配下で神経をすり減らして生きています。

誰も働いておらず、夫人が財布のひもを握っているため、出ていきたくてもお金がなく、自活する能力もない。

子供たちは彼女に従わざるを得ない状況だったのです。

しかし、ボイントン夫人が殺害される事件が発生!

ポアロが耳にした男女のささやきが、現実のものとなります。

支配的でサディスティックなボイントン夫人と、子供たちとの関係が非常に緻密かつ生々しく描かれていて、読者に強烈な印象を残します。

犯人探し以上の物語が展開され、人間ドラマとしても秀逸。

ストーリーは意外な展開を迎え、犯人の正体にあっと驚くこと間違いなしのおすすめの本です。

自信満々のポアロ

本作のポアロは、いつにも増して自信満々の態度を見せます。

24時間以内に事件を解決すると豪語。

アンマンの警察署長カーバリ大佐から「ずいぶん自信がありますね」と言われて「私は自分の能力をよく知っているだけです」とキッパリ。

ボイントン家の次女ジネヴルから「非常に有名な探偵ですか」と尋ねられて「世界最高の名探偵です」なんて言うのですから面白い。

けれど、ポアロがすごいのは有言実行するところ。

ポアロはボイントン家、同じツアーに参加している旅行者、ツアー会社の通訳にまで聞き込みを行い、それを時系列にまとめていきます。

そして、導き出した犯人の正体・・・。

巧妙なミスリードにだまされてしまいましたよ。

余談ですがポアロは、ボイントン家の長男レノックスの妻ネイディーンとの会話の中で「オリエント急行の殺人」について言及しています。

「オリエント急行の殺人」は、1933年に発表されたA・クリスティの傑作。

詳しくはこちら→小説「オリエント急行の殺人」ネタバレなしの感想

あの事件がその後どうなったのか知ることができるのですから、原作ファンはニンマリ。

中東を舞台にした作品はこちら

エルサレムやペトラ遺跡など、中東の異国情緒あふれる舞台で起こった殺人事件!

毒親と呼ばれるほどの強烈な被害者。

巧妙なミスリード。

そろそろ読んでみませんか?

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