クイーンズ・ギャンビット 感想 ネタバレなし&あり

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チェスのルールが分からなくても面白い。
見終わった後はチェスを指したくなる?!

原題名The Queen’s Gambit
制作国アメリカ
製作年度2020年
エピソード数7エピソード

1950~60年代のアメリカ。

児童養護施設で育ったベスは、チェスの王者になるため、アルコールや薬物の依存に苦しみながらも頂点を目指していく。

ベス・ハーモン

演:アニャ・テイラー=ジョイ (1996年4月16日生まれ)

チェスの天才

ベスを演じるアニャ・テイラー=ジョイは、やぼったい少女から洗練された大人の女性までを、見事に演じていました。

ゴールデングローブ賞で、主演女優賞を獲得したのも納得の圧巻の演技です。

映画やドラマを見る楽しみの一つに、スターが誕生する瞬間を目撃できるという醍醐味だいごみがあります。

アニャもその1人。

目が離れているとか、爬虫類っぽいとか言っちゃいけません。

一度見たら忘れられない個性的な顔立ちと言ってほしい。

今後、ハリウッドを代表する女優の1人になるんじゃないでしょうか。

ベニー・ワッツ

演:トーマス・ブロディ=サングスター(1990年5月16日生まれ)

全米チャンピオンで、ベスの友人

同業者だけれど、ベスの良き理解者であり友人という立ち位置がいいですね。

ベニーを演じるトーマス・ブロディ=サングスターは、1990年生まれなので、撮影時は30歳前。

ベビーフェイスなので、6歳年下のアニャの方がお姉さんに見えてしまいます。

トーマスといえば、2003年公開のクリスマス映画の名作「ラブ・アクチュアリー」が有名。

あまりのかわいさに、他の大物スターたちがかすんでしまうくらいでした。

ぜひ見てほしい。

ムームードメイン

日本人にはなじみのないチェスの話ということで、最初はどうかなぁ~と思ったんですよ。

ところがどっこい。

ルールが分からなくても面白い。

男社会の中で、次から次へと強敵を打ち負かす姿がかっこいいので、単調になりがちな対局のシーンも飽きません。

そして何といっても圧巻なのが、主人公が天井を見上げ駒の位置を思い浮かべるシーン。

このシーンは鳥肌もので見る価値あり!です。

緑の薬について

児童養護施設の子供たちが服用していた薬は精神安定剤。

50~60年代のアメリカで実際に使われていたそうです。

理由は「扱いやすくするため」

健康な子供たちに薬を与えるなんて恐ろしい・・・。

ベスは薬の影響で天井にチェス盤が見えるようになるんですけど、この映像が美しかったですね。

これを思いついた制作陣はしてやったり!と思ったのでは?

私ならほくそ笑みます。

天才は孤独?

ベスの場合、人に恵まれていますよね。

友人のベニーやチェス仲間。

施設で出会ったジョリーン。

養母のアルマも、ちゃっかりしているけれど、悪い人ではありませんでした。

そして何といっても、チェスを教えてくれた施設の用務員シャイベルさん。

訃報に接し、久しぶりに養護施設を訪れるベス。

シャイベルさんの部屋で見つけたのは、ベスの活躍を伝える記事の切り抜きでした。

いつも仏頂面で寡黙だったシャイベルさんですが、ベスのことを気にかけていたんですね。

多分彼はチェスだけが唯一の楽しみの孤独な老人だったんでしょう。

だからこそ、教え子だったベスの活躍は、何よりもうれしかったんだろうと思います。

こんな風に想ってくれている人がいたなんて、ベスは幸せ者です。

たくさんの人の支えがあったからこそ、天才にありがちな孤独な最期を迎えることもなく、ハッピーエンドだったのでしょう。

ルール的にOK?

ベスがメキシコ大会で少年と対局するシーンが非常に気になりました。

対局中にもかかわらず、ベスが会場内をうろつくんです。

ルール的にOKなんだということにびっくり。

トイレに行く時以外は離席したら駄目だと勝手に思っていました。

相手を揺さぶるための作戦なんでしょうけど、子供相手に大人げない。

まぁ、勝負の世界ですからね。

勝つためなら何でもするというベスの執念が垣間見れた印象深いシーンでした。

ファッションが最高!!

ベスの着る60年代ファッションが最高すぎます。

レトロでガーリーな服を完璧に着こなしていて眼福。

特にチェス盤を意識した格子柄の服がかわいいんですよね。

注目すべきなのは、ファッッションがベスの心情を表しているということ。

特にラストシーンの白いコートは、彼女の潔白さを表していて印象に残りました。

最大のライバル

無敵のベスの前に唯一立ちはだかるのが、ソ連人プレーヤーのボルゴフ。

ラストの一騎打ちは、どちらが勝つのか分からない状態で、手に汗握るシーンでした。

薬物やアルコールにも打ち勝ったベス。

最大のライバルは、ボルゴフではなく、自分自身だったのかもしれません。

この緊迫感あふれた試合の後、公園でチェスに興じる老人と対局するベスの姿がすがすがしかったぁ~。

後味の悪い結末を迎えることもなく、ベスの半生を堪能できたのが良かったです。

近年見たリミテッドシリーズの中では、ピカイチでした。

「クイーンズ・ギャンビット」を見終わった後に読みたいチェスを題材にした小説「猫を抱いて象と泳ぐ」(小川洋子著)

心にしみわたる良作でした。

「猫を抱いて象と泳ぐ」を聴くことができます。