
映画ファン必見の名作。
ラストは号泣です!
基本情報
原題名 | Nuovo Cinema Paradiso |
制作国 | イタリア/フランス |
製作年度 | 1988年 |
上映時間 | 2時間4分 |
監督 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
あらすじ
映画監督のサルヴァトーレ(トト)の元に、映写技師アルフレードの訃報が届く。
彼の脳裏に、映画が大好きだった少年時代と、アルフレードとの友情がよみがえってくるのだった。
キャストのその後
アルフレード [パラダイス座の映写技師]
演:フィリップ・ノワレ(1930年10月1日~2006年11月23日)
フィリップ・ノワレは、フランスを代表する名俳優です。
代表作は他に「イル・ポスティーノ」(1994年)があります。
サルヴァトーレ(トト) [中年時代]
演:ジャック・ペラン(1941年7月13日~2022年4月21日)
ジャック・ペランは、フランス出身のベテラン俳優です。
代表作は他に「コーラス」(2004年)があります。
サルヴァトーレ(トト) [少年時代]
演:サルヴァトーレ・カシオ(1979年11月8日生まれ)
サルヴァトーレ・カシオは、今作で日本のCMにも出演するほどの人気を得ました。
しかし、その後は俳優を引退し、レストラン兼ホテルを経営。
けれど2023年、短編映画に出演し、カムバックを果たしました。
サルヴァトーレ(トト) [青年時代]
演:マルコ・レオナルディ(1971年11月14日生まれ)
マルコ・レオナルディは、現在もイタリア映画を中心に、俳優として活動を続けています。
感想(ネタバレなし)
第二次大戦後のイタリア、シチリア地方を舞台に、映写技師アルフレードと、主人公トトとの心の交流を描いた作品です。
映画への深い愛情と郷愁、そしてあのラストシーン・・・。
反則技連発(いい意味)で、映画ファンをノックアウトさせた名作です。
後に名監督になるジュゼッペ・トルナトーレは、当時まだ30歳そこそこの無名の新人でした。
老熟の域に達した監督が撮るような映画を、あの若さで作ったのですから驚嘆に値します。
ハンカチ・・・ではなくバスタオルを用意して見ていただきたいおすすめの作品です。
感想(ネタバレあり)
トトがかわいい!
とにかく少年時代のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオがかわいい!
演技がうまいとはいえないけれど、素人っぽさが逆に味があっていいんですよね。
(時々セリフを言っている時に、目が泳いでいたりする。いやはや、それもまたかわいくて良い、良い)
私の中では、今でも名子役ナンバー1に君臨する存在です。
映画の成功は、半分くらいは彼のおかげなのではないでしょうか。
トトとアルフレードのシーンは、どれも微笑ましいものばかりで、目じりが下がりっぱなしになります。
印象的だったのが、自転車の2人乗りのシーン。
トトがアルフレードに「友達になろう」と言うんですよね。
そしてエンニオ・モリコーネが作曲したテーマ曲がバックに流れるのよ。
このシーンに、このテーマ曲。
反則じゃありませんか。
何気ないシーンなのに、こんなにも胸を打つなんてずるいぞっ!
その他にも、珠玉のエピソードがてんこ盛り。
こんなにも幸せな気持ちにさせてくれるトト少年、恐るべし。
おとぎ話の謎
青年になったトトは、美しいエレナに恋をします。
けれど、エレナの父親は銀行の重役で、手の届かない存在。
アルフレードは「青い目は一番手ごわい。あきらめろ」と忠告します。
そしてあるおとぎ話をトトに話して聞かせます。
昔ある王様がパーティーを開き、国中の美しい貴婦人が集まった。
護衛中の兵士が王女に一目ぼれし「あなたなしでは生きていけぬ」と言った。
王女は「100日間の間昼も夜も私のバルコニーで待ってくれたらあなたものになります」と答えた。
兵士はひたすら待ち続けた。
99日目の夜、兵士は立ち上がった。
椅子を持って行ってしまった。
なぜ兵士は99日目で立ち去ったのか?
アルフレードは「分からない」と答えます。
兵士が立ち去った理由とは?
① 兵士がおじけづいた
王女は約束を破るかもしれない。
今、立ち去れば深い傷を負わなくて済むと考えた。
② 愛ではないと気づいた
100日という条件を付けた王女に対して、徐々に不信感を抱くようになった。
しかし、すぐに立ち去るのはしゃくに障るので、99日まで待った。
③ 王女を想うがゆえに断念した
王女と兵士とでは身分があまりにも違いすぎる。
王女を幸せにすることができないと考えてあきらめた。
正解は分かりません。
100人いれば100通りの考え方があります。
①と②は悲しすぎる。
③ならロマンチックなんですけどね。
おすすめのシーン
おすすめのシーンは、全員一致でこのシーンでしょう。
① アルフレードとトトの別れのシーン
ローマへと旅立つトトに、アルフレードが掛けた言葉。
「帰って来るな。私たちを忘れろ。手紙も書くな。郷愁に惑わされるな。すべて忘れろ。我慢できずに帰ってきても私の家には迎えてやらない。分かったか。自分のすることを愛せ。子供の時映写機を愛したように」
アルフレードはトトを心から愛しているからこそ突き放すのです。
小さな村の映写技師で終わってはいけない。
外の世界に踏み出せと背中を押すこのシーンは、涙なくしては見れませんでした。
② ラストのキスシーン
著名な映画監督になったトトは、アルフレードの訃報に接して故郷に戻ります。
アルフレードの形見として渡されたフィルムには、かつて検問でカットされた映画のキスシーンが集められていました。
それを見て涙するトト。
映画監督として成功したのですから、もっと早く故郷に帰って来なさいよと言いたくなりました。
アルフレードはきっとトトに会いたかっただろうな。
映画のラストにこのシーンを持ってくるなんて、心憎い演出です。
総評
映画への愛、故郷への郷愁、主人公トトの成長、アルフレードとの出会いと別れ。
どのシーンを切り取っても美しく切なく涙しました。
改めて思います。
映画っていいものですね。