離婚のプロセスを描いた良作。
弁護士介入で、事態はあらぬ方向に・・・。
基本情報
原題名 | Marriage Story |
制作国 | アメリカ |
製作年度 | 2019年 |
上映時間 | 2時間17分 |
監督 | ノア・バームバック |
あらすじ
舞台演出家のチャーリーと女優のニコールは、結婚生活のすれ違いから離婚を決意する。
当初は円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、弁護士を介した激しい争いに巻き込まれ、互いの感情があらわになる。
登場人物とキャスト
ニコール・バーバー
演:スカーレット・ヨハンソン(1984年11月22日生まれ)
女優。
女が離婚すると決めたら、後に引き下がるようなことはしません。
夫の劇団の看板女優だけで終わるなんてとんでもない。
ニコールを演じるスカーレット・ヨハンソンは、ハスキーボイスが魅力的なハリウッドを代表する女優の1人です。
「アベンジャーズ」シリーズでは妖艶なスパイ、ブラック・ウィドウ。
「真珠の耳飾りの少女」「ブーリン家の姉妹」では歴史上の人物。
「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」「それでも恋するバルセロナ」ではウディ・アレン作品のミューズ。
「私がクマにキレた理由」「幸せへのキセキ」では等身大の女性と、幅広い役柄を演じています。
「マリッジ・ストーリー」では、珍しくショートカット姿で「母親」という新たな一面を見せてくれます。
チャーリー・バーバー
演:アダム・ドライヴァー(1983年11月19日生まれ)
舞台演出家。
離婚問題に直面してオロオロする姿がかわいい。
こういう時の男ってだめですねぇ。
チャーリーを演じるアダム・ドライヴァーは、ショービジネスの世界では珍しく「普通」の雰囲気を持った絶滅危惧種俳優です。
だからこそ「スター・ウォーズ」で、カイロ・レン役を演じた時はびっくりしましたよ。
けれど、魂は売っていません。
「沈黙」や「パターソン」といったミニシアター系の良作にも出演しています。
「マリッジ・ストーリー」は、アダムの魅力が満載の映画です。
ノラ・ファンショー
演:ローラ・ダーン(1967年2月10日生まれ)
<同作でアカデミー賞とゴールデングローブ賞助演女優賞受賞>
弁護士。
ノラが油に火を注ぎまくっているのは間違いない。
もうやりすぎ。
ノラを演じるローラ・ダーンは、俳優のブルース・ダーンとダイアン・ラッドを両親に持つ二世俳優です。
両親も手に入れることができなかったアカデミー賞を受賞したんですから、もう親の七光りとは言わせません。
映画「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」では4姉妹の優しい母親。
TVドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」では絶叫クイーンと、同じ俳優が演じているとは思えないカメレオンぶりでした。
「マリッジ・ストーリー」のイケイケ弁護士は必見。
ストーリーがより面白くなっています。
感想(ネタバレなし)
離婚のプロセスを描いた有名な映画と言えば、1979年に公開されたアメリカ映画「クレイマー、クレイマー」でしょう。
夫役にダスティン・ホフマン、妻役にメリル・ストリープという大スター同士の共演が話題の良作でした。
40年後の2019年にネットフリックスで配信された「マリッジ・ストーリー」は、時代は違えど離婚問題の複雑さは同じです。
偶然なのかどうかは分かりませんが、幼い1人息子がいて、父親が息子との接し方に四苦八苦するなど類似点がいくつかあります。
子供にとってどうすることが一番幸せなのか?
「クレイマー、クレイマー」も「マリッジ・ストーリー」もラストシーンで判明します。
離婚経験者じゃなくても十分に共感できる映画です。
感想(ネタバレあり)
実生活と重なるストーリー
同作で監督、脚本を務めるのが、ノア・バームバック。
ノンフィクションなんじゃないかってくらい実生活と重なる部分があります。
まず、元妻がニコールと同じく女優のジェニファー・ジェイソン・リー。
2人の間には息子がいて、ヘンリーと同じくらいの年の頃に離婚しています。
これはもう確信犯ですよね?
「マリッジ・ストーリー」は大成功を収めましたが、元妻はどう思ったんでしょう?
別れ方次第では腹が立つかも。
離婚はつらいよ
子供を連れて、実家があるロサンゼルスへ引っ越してしまったニコール。
息子の親権を得るために、ロサンゼルスにやって来るチャーリーの努力が涙ぐましいです。
ニューヨークからロサンゼルスまで飛行機で約5~6時間。
遠すぎるし、運賃だってかかります。
家を借りるにも月20~30万はかかるんじゃないですか?
弁護士費用だってばかになりません。
いくら売れっ子演出家といってもこれはきつい。
全ては子供のため・・・とはいえ時間もお金も浪費してしまいますよね。
ニコールは地元だから楽ですよ。
チャーリーばかり損していません?
結婚より離婚の方が大変です。
イケイケ弁護士ノラ・ファンショー
ニコールが雇った離婚弁護士ノラ・ファンショーが強烈でした。
弁護士らしからぬ派手なファッションで、一歩間違えると水商売のおばさん。
けれど、腕は一流で、相手を徹底的に叩きのめします。
絶対に敵に回したくない・・・。
最初は円満離婚を望んでいたニコールも、ノラに洗脳されてすっかり戦闘モードに。
弁護士を雇うことで余計に事態が悪化してしまいます。
現に、チャーリーと2人きりで話す時は、それほど憎しみあっていません。
夫を殺したいほど憎んでいる場合は、ノラほどうってつけの人はいないでしょうね。
泣く子も黙るノラ・ファンショーですが、不思議と嫌味はありません。
やはり、ローラ・ダーンが演じているのが大きいと思います。
嫌われないギリギリの線を攻めていますもの。
アカデミー賞とゴールデングローブ賞で助演女優賞を獲得したのも納得の演技です。
印象的なシーン
印象的なシーンは、チャーリーが住んでいる賃貸アパートに、調査員が訪問するところでしょう。
良く見せようとして空回りする姿が、切なくて滑稽なんですよね。
ナイフで腕を切ってしまい大出血しながらも、それを必死に隠そうとする姿がもう何とも言えません。
慌てふためくチャーリーとは対照的に、調査員が無表情で事務的なのが面白いです。
頑張れ!チャーリー!とついつい応援したくなるシーンでした。
総評
裁判は何とか円満に着地。
チャーリーはロサンゼルスへの移住を決意しました。
チャーリーの方が大きく譲歩した形に。
まぁ、子供はよほどのことがない限り、母親のものですからね。
父親の方が分が悪いのは仕方がありません。
けれど、子供にとっては、両親が近くに住んでいて、いつでも会えるという環境は最高じゃないですか。
「離婚」というテーマを扱っていましたが、見終わった後はすがすがしい気持ちになれる作品でした。
こちらの記事もチェック→手書きで残そう!映画・ドラマの記録におすすめのノートを紹介