小説「蒲生邸事件」ネタバレなしの感想

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主人公が二・二六事件直前の世界にタイムトリップ!
タイムトラベラーは「まがい物の神」なのか?

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平成6年2月26日、浪人生の尾崎孝史は予備校受験のため上京。

宿泊していたホテルが火事になるが、謎の中年男性平田に助けられる。

気がつくと昭和11年2月26日、二・二六事件の直前の東京にある元陸軍大将蒲生憲之の邸宅「蒲生邸」にいた。

平田は自分を「時間旅行者」と名乗り、孝史を過去に連れてきたと告げる。

宮部みゆき氏は1960年、東京生まれの日本の小説家です。

推理小説、時代小説、ファンタジー、SFなど幅広いジャンルで活躍。

1987年「我らが隣人の犯罪」でオール読物推理小説新人賞を受賞しデビュー。

「蒲生邸事件」は第18回日本SF大賞を受賞したSF時代ミステリーです。

「蒲生邸事件」について

「蒲生邸事件」は歴史、ミステリー、SFを融合させた作品です。

平成6年2月26日、浪人生の尾崎孝史は、予備校受験のため東京のホテルに滞在していました。

ところが、ホテルで火災が発生し、平田という謎の中年男性に助けられます。

避難先は現代ではなく、二・二六事件が迫る昭和11年2月26日で、元陸軍大将蒲生憲之の屋敷「蒲生邸」でした。

平田は自分を「時間旅行者」と名乗り、困惑するする孝史に自分の能力について話します。

孝史は現代に戻れるまで、平田の甥のふりをして蒲生邸で働くことになります。

歴史的史実である二・二六事件。

蒲生邸の当主蒲生憲之の死にまつわるミステリー。

タイムトラベルというSF要素。

人間ドラマとしても秀逸で「人はどう生きるか?」という普遍的な問いを投げかけています。

読了後も深い余韻を残すおすすめの作品です。

二・二六事件

孝史がタイムトリップした時代は、昭和11年2月26日、二・二六事件が起こった日でした。

二・二六事件は日本陸軍の青年将校らによるクーデター未遂事件です。

しかし、孝史と平田がクーデターを阻止するという野暮なストーリーではありません。

二・二六事件の混沌を背景に、昭和初期に生きる市井の人々の苦悩や日常を描いています。

人間ドラマを丁寧に描く宮部みゆき氏ならではの視点で、読みごたえは十分です。

拳銃の行方

平成6年2月26日の現代。

元陸軍大将蒲生憲之は、二・二六事件事件勃発当日に、軍部の政治介入と独走を憂えた遺書を残して自決したことが史実として残っていました。

しかし、孝史がタイムトリップした昭和11年2月26日。

蒲生憲之の遺体現場に拳銃がなかったことから、他殺の可能性が浮上します。

窓には鍵がかけられ、外部からの犯行は不可能。

屋敷内の人物たちが疑われるクローズド・サークルミステリーの様相を呈します。

蒲生憲之の死は自決だったのか?

それとも、何者かに殺されたのか?

拳銃の行方は?

ミステリーとしても楽しめます。

タイムトラベラーは「まがい物の神」なのか?

タイムトラベラーの平田は、自分が「まがい物の神」なのではないかと苦悩します。

世のため、人のために歴史を変えようと孤軍奮闘しますが、歴史の必然は変えることができない、止めることもできないことを痛感するのです。

「まがい物の神」である平田が、最後に下した決断ー。

「人はどう生きるか?」という問いに対する平田の答えに拍手を送りたくなる、そんなラストでした。

孝史の決断

孝史は蒲生邸で女中として働く20歳の向田ふきに、淡い恋心を抱きます。

しかし、ふきは過去の時代の人間。

58年後の現代では、78歳のおばあちゃんになっています。

孝史は過去にとどまるのか?

ふきを未来に連れて行くのか?

それとも・・・。

これほど結末が気になって仕方がなかった作品はありません。

2人はどうなったかって?

それは読んでのお楽しみ。

前半の何気ないシーンや会話が、後半になって伏線として回収されます。

見事としか言いようがありません。

歴史×ミステリー×SFと3度楽しめる「蒲生邸事件」

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