
真実と向き合う覚悟はあるか?
ダニーの正体に涙すること間違いなしの良作です。
「クラウデッド・ルーム」はApple TV+で視聴できます。
最新の情報はApple TV+にてご確認下さい。
基本情報
原題名 | The Crowded Room |
制作国 | アメリカ |
製作年度 | 2023年 |
エピソード数 | 10エピソード |
あらすじ
1979年、ニューヨーク。
ダニー・サリバンは、銃乱射事件の容疑者として逮捕される。
ダニーは心理学者ライア・グッドウィンのカウンセリングを受け、そこから彼の過去と隠された秘密が徐々に明らかになる。
登場人物とキャスト
ダニー・サリバン [銃乱射事件の容疑者]
演:トム・ホランド(1996年6月1日生まれ)
トム・ホランドの代表作といえば「スパイダーマン」シリーズの主人公ピーター・パーカーでしょう。
ただ当たり役に出会ってしまうと、その後のキャリアが低迷する場合もあります。
そんな中、出演したのが「クラウデッド・ルーム」
非常に難しい役柄を演じ、新境地を開きました。
撮影後は疲れがピークに達し、1年間休業したほど。
もっと評価されてもいいのに、作品は賛否両論でした。
なぜだっ!?
ライア・グッドウィン [心理学者]
演:アマンダ・セイフライド(1985年12月3日生まれ)
アマンダ・セイフライドは、大きな目と端正な顔立ちが魅力の俳優です。
「マンマ・ミーア」や「ジュリエットからの手紙」など、等身大の女性の役柄が実によくお似合い。
本作では夫のトーマス・サドスキー(2017年に結婚。1男1女あり)と共演。
ライアと親しくなる刑事役の人です。
キャンディ [ダニーの母親]
演:エミー・ロッサム(1986年9月12日生まれ)
エミー・ロッサムと息子役のトム・ホランドの実際の年齢差は10歳!
けれど、16歳で息子を産んだという設定なので、全く違和感がありません。
化粧っ気のない疲れ切った女性を見事に演じています。
感想(ネタバレなし)
「クラウデッド・ルーム」はかなり心をえぐられる作品です。
主人公ダニーはなぜ白昼堂々と発砲事件を起こしたのか?
彼の隠された秘密が明らかになるにつれ、痛々しい姿に何度も手を差し伸べたくなります。
落ち込んでいる時に視聴してはいけません。
ぜひ、心身共に元気な時に見てほしい作品です。
感想(ネタバレあり)
もうネタバレ?
私はいつもオープニングをスキップせずに見ています。
今作の場合も、オープニングを見ていたら「原案 ダニエル・キイス ”24人のビリー・ミリガン”」とクレジットされているではありませんか。
ちょ・・・ちょっと待ってくれよ。
これは完全なネタバレなんじゃないですか?
「24人のビリー・ミリガン」は”多重人格”という障害を一躍世に知らしめたノンフィクションです。
もしや今作は多重人格の話なのか?と第1話を視聴する前から気づいてしまったのです。
これはあえて多重人格であるということを分からせた上でストーリーが展開するのか?
困惑しながらも視聴することになったのです。
ダニーの2人の友人ジョニーとマイクも本人。
幽霊屋敷のオーナーでイスラエル人のイツァクも本人。
精神的に不安定な女性アリアナも本人。
イギリス人ビジネスマンのジャックも本人。
ネタバレありなので驚きはなく、前半はちょっと退屈さを感じてしまいました。
しかし、第5話から目が離せない展開になります。
継父のマーリンがダニーに性的虐待をしていたという衝撃の過去。
別人格の双子のアダムが、自分の代わりにマーリンの餌食になってくれたこと。
第5話はあまりにもつらくて泣きました。
ただその時に気づいたのは、マーリンに出会う前からアダムという別人格がいたこと。
実はダニーが4歳の時に、実父からも虐待されていたことがラストで判明します。
そんな幼い頃からダニーとアダムは支え合って生きてきたのかと思うとまた泣いてしまいました。
アダム、ジョニー、マイク、イツァク、アリアナ、ジャックは、守護天使としてずっとダニーを守ってくれた。
自分を守ってくれる存在と別れを告げるのはとてもつらいことかもしれない。
けれど、ライアと出会ったことで「ダニー」として生きていく決意をした彼の姿にラストは拍手を送りたくなりました。
母親のキャンディについて
ダニーの母親キャンディは、昼は看護師、夜はバーで働くシングルマザーです。
働きづめの生活に嫌気がさしたキャンディは、少年院で働いているマーリンに救いを求め結婚します。
このマーリンがクズ男だったわけですが、キャンディも同類でしょう。
マーリンの正体にうすうす気づいていながら、見て見ぬふりをしていたわけですから。
最後はダニーの味方になってくれるのかと思ったら、証言台で虐待はなかったと嘘をつくロクでもない母親でした。
すべては自分を守るため。
子供のことよりも自分。
自分さえ不幸にならなければいいという浅はかな女です。
そのせいでダニーは自殺未遂を図ります。
ダニーはその後、改心した母親と面会しますが、彼女を心から許すことはないでしょうね。
それにしても気になったのがマーリンよ。
あのクズ男をなぜ逮捕しない?
証拠がないから?
そんなの知ったこっちゃない。
少年院に入った黒人少年に妙に親切にしているシーンがありましたよね。
彼に対しても性的虐待をしていた可能性は大いにあります。
マーリンは野放しなのかと思うと腹が立ちました。
ライアが最高!
心理学者のライアが非常に魅力的でした。
冷静沈着な心理学者なのかと思ったら、いい年をして母親にブツクサ文句を言われるシングルマザーの一面も。
恋愛もあまりうまくいっていない模様。
最初はキャリアのためにダニーに接見したと思うんですよ。
それが徐々に仕事という枠を超えてダニーを救おうとします。
そしてライアの思いやりが、ダニーの心を動かすことになります。
勝訴後、精神病院に収容されることになったダニーは、他の精神科医の元で治療を受けることに。
ダニーの担当になることができずに嫉妬するライアが、実に人間味にあふれていて素敵。
非常に暗いストーリーでしたが、ライアの人柄に救われた作品でした。
総評
とても胸を打つ作品でした。
見終わった後も、しばらく放心状態。
けれど、最後は誰も不幸にならなくてよかった!
ただし、マーリンだけは地獄に落ちろと願います。